中途入社で入ってきた後輩がいるのですが、前職がいわゆるブラックな職場だったらしく、うちの職場でもビクビクしています。この前もコピー機の使い方を教えていたら「前の職場では誰も何も教えてくれなかったので、すごく感動しています」と涙ぐんでいました。定時過ぎても帰らないので「帰らないんですか?」と聞いたら「えっ、帰っていいんですか? 前の職場は上司より先に帰ると嫌みを言われたのでずっと残っていました」とまた感動していました。
お願いした仕事はきちんとこなすので、彼女に能力がないわけではありません。(仮に能力がなかったとしてもハラスメントは許されないのですが…)でも、何かをやるたびにビクビクしていて自信をすっかりなくしている彼女を見ていると彼女の元いた会社に怒りが湧いてきました。
彼女に対しては、「ここではどんな意見を言っても否定されないし、あなたを尊重しているよ」というメッセージを送って見守っていこうと思うのですが、それでいいのか、もっと私ができることはないのか悩んでいます。どんなふうに接していけばいいのかあおいさんの意見を伺いたいです。
ブラックな職場の特徴
ブラック企業は競争心をあおるのがお上手なんですよね。
常に比較対象の目で観察して、特定の人を持ち上げ、特定の人をこき下ろし、天国と地獄を見せ付けて、「一番」を競わせるように働きかけるのです。
本来なら助け合うべき同期なのに、気が付けば周りのみんなは競争相手。
ある者は足を引っ張ろうとミスを誘ったり、ある者は根も葉もない不名誉な噂話を吹聴したり、ルール無用のサバイバルな環境になってしまうんです。
そんな環境にいると気が休まる暇なんてなくなってしまうんですよね。
定時で帰ってもいいのに「ビリになりたくない」という強迫観念が刷り込まれているため、われ先にと競うように連日連夜で残業をして、家路に着くのはもう日付が変わる頃。
食事とシャワーを済ませたらもう寝なければいけない時間なのに、寝て起きたらまた今日と同じ明日が来てしまうと思うとなかなか寝付けず、アルコールをあおるように喉に流し込み無理やり就寝してみても、不摂生が祟りパフォーマンスは落ちるばかり。
そんな負のサイクルにハマってしまうと、休むのが怖くなってしまうんです。
休日くらいゆっくり休みたいのに、刷り込まれた競争心がそれを許さず、休んでいるのに精神的には追い詰められている感じ。
そうやって本当の意味での「休日」を失い、精神的にも身体的にも壊れてしまうのがブラック企業の怖いところですね。
気持ちよく働ける環境づくりより先にやること
「休むのが怖い」という症状はブラック企業を辞めたからといってすぐに治るものではなく、しばらくの間は続いてしまうものです。
これが治らないとホワイトに転職しても自らブラックな働き方をしてしまうので、まずはそれをケアしてあげることが最優先になります。
そのためには違う誰かと比較して競争心を刺激しないこと。
仕事の話よりも私生活の話をして意識を仕事から外してあげること。
仕事の能力よりも、その人のパーソナリティに興味を持ってあげることですね。
気持ちよく働ける環境づくりよりもまず先に、
気持ちよく休める環境づくりを心掛けてやってください。
気持ちよく働ける環境づくりはその後で結構ですよ。